<雨雫様一周年記念小話+イラスト>



-その、ぬくもりに-



 その日、郊外にある安部家には天后しかいなかった。主やその息子たちは夏休みを利用して旅行に出かけている。十二神将は旅行に行く者、異界に戻る者、天后のように残る者がいた。

 家事を一通り終えた後、天后はもったいないと思いながらも、冷房をつけた。うだるような暑さの中家事をすべてこなしたので、身体じゅうが沸騰しているようだ。

 冷房をつけて、リビングがひんやりとし始めると、天后はすぐに眠気に襲われた。
 そしてそのままソファーに倒れこむ。するとすぐに意識は夢の中へと落ちていく。


◇ ◇



 ふと、頬に何かが触れる。ぼんやりと意識が覚醒した。だが瞼をあげるほどではなく、天后は半分眠りながらいぶかしんだ。

(…だれ………?)

 いやな感覚ではない。むしろ温かい気分になっていく。そのうちに、ふんわりと背中の上に何かがかけられた。
 そして、頭をくしゃりと撫でられた後、微かに同胞の気配が遠ざかっていく。

「せい…りゅう…?」

 名を呼ぶと、眠っていろ。と常よりも柔らかい声音が帰ってきた。












あとがきと感謝の気持ち
 加月さんへ愛をこめてv一周年おめでとうございます。切なくなったり、温かくなったりする加月さんの小説、が本当に大好きです。私の元気の源でもあります。また、折々にお声をかけてくださり、本当に嬉しいです。その感謝の気持ちを、小話とイラストに形にしてみました。どうぞお納めくださいませ^^。
 08/07.30 はると